たまご屋爺さんの独り言 「ケージ飼い」と「平飼い」 20210227
最近日本で鶏卵業界の大物A氏と元農林大臣との贈収賄事件で騒がしい。
その騒ぎのもとは鶏の飼育方式の国際規格設定をめぐってのものだ。
我々の業界用語で鶏を金網の籠に入れて飼うのが「ケージ飼い」であり、土間に放し飼いするのが「平飼い」である。
現状、日本の食用卵の90%以上は「ケージ飼い」で生産されている、それには理由がある。
これを動物愛護のの立場からEUならびに北米の一部の州に見られるようにケージ飼い」を州法で禁止した。
日本でも同じ動きがあることを心配しての動きと思われる。
私どものたまご農場は近々創立100年を迎える、私の父親の時代は100%「平飼い」であった。
戦後しばらくして私たち年代がこの仕事に携わるようになって「ケージ飼い」が始まった。
これは何も時の農林省の指導によるものでなく、業界が独自に海外の情報を集め日本の環境に適応した「ケージ飼い」を発展させたと自負している。
それは衛生的に卵を生産できること、飼料効率を良くする、労働効率を高める、伝染病のコントロールがしやすい、土地効率が良い、、、などなどの理由によって現在食用の「平飼い」農場はほとんどなくなってしまった。
ところが人間は贅沢である、安く安全な卵が十分に手に入ると今度は動物愛護のため「平飼い」をせよと云う人たちがいる。
「ハイ、承知しました。その代り現在の卵価の2倍頂かないと経営はなりたちません」。
そうしたら実際にその卵を買って下さる人はほとんどいないことになる。
それが現実なのだ。