日本たまご事情 コレステロールはやや高目が長生きする

新聞協会賞の読売新聞記者による『 「コレステロール常識」ウソ・ホント(講談社BLUE BACKS 田中秀一著)』を購入し読んでみた。そこにはコレステロールをめぐって医者と製薬会社のまったく腹ただしいことが書いてあった。

新聞記者はともすれば物事を大げさに書くきらいがあるが、それを差し引いても最近の知見をもとに事実をつきつけた主張には迫力がある。金の亡者のような医者と製薬会社がいる一方、真面目に事実を積み上げ今のコレステロール診断基準値(220mg/dl)の間違いを指摘している先生方も紹介している。

いままで新聞記者にとって製薬会社の悪口を書くことは広告の大スポンサーとしてタブーであったに違いない。何がおきたのか知らないが、このところ読売・朝日両新聞が立て続けに大きくこの問題をとりあげている。いずれもコレステロール血中濃度240−260mg/dlが総合的に長生きでき、現在の診断基準220mg/dlはいたずらにコレステロール降下剤の投薬量をふやし、医者と製薬会社の儲けを増やすだけで国民のためになっていないというものだ。

もう一つ驚くことが書いてあった。れっきとしたデータ(日本脂質介入試験J−LIT)の分析によって、『これまで高コレステロール血症の患者に対しては動脈硬化の予防を目的に、コレステロール値を低下させる食事療法がよく行われてきた。しかしこれは無効どころか有害であることがわかった(浜崎智仁/富山医科薬科大学)』とあった。いままで卵を目の仇にしてきた食事療法とは一体なんであったのだろうか。健康診断でコレステロールがやや高めといわれた人は是非この本を読んでほしい。あなたは一番長生き出来るのです。