ニコラス先生

毎年6月になると近くの埼玉工業大学で英会話の公開講座が始まる。
一般社会人むけのもので週一回、全部で八回がコースになっていて、夕方一時間ほど行われる。
参加して今年で4年目になるが、メンバーは20−70代にわたり幅があって面白い。
一般社会人が貴重な時間とお金を使って勉強しようと言うのであるから、それは熱心である。
講師の先生に言わせれば、大学生に教えるよりよほど張り合いがあり、緊張するといわれる。

一クラス15名前後であるから、生徒のほうも緊張する。
ぼんやりしているとすぐ指されてしまい、判らず立ち往生し、とても居眠りしている暇はない。
予定の時間はあっという間に過ぎてしまう。

この4年間、講師をつとめるのはイギリス人のニコラス先生で、50代半ばのジェントルマンで人気がある。
私のように同じ講座を毎年とる生徒も4−5名いる、このなかの特に熱心なT氏が中心になって大学の講座とは関係なく「ニコラス先生をかこむ会」を組織し月一回例会をもっているほどだ。

年輩になって英会話を学ぶ人たちはそれぞれ魂胆があるが、共通して云えることはみな好奇心の強い人たちばかりである、会えばたちまち話の花が咲く。
ニコラス先生を縁に仲間の輪が拡がっていく、私には英会話を勉強しに行っているのかお喋りに行っているのか判らない。