若冲と江戸絵画

とても良いものを観た。
若冲と江戸絵画」展が上野の国立博物館で開催されていたが、開催終了の前日間に合った。
会場はどちらかと言えば地味な展示物であるにもかかわらず多くの人たちでごった返していた。

驚くことにこれ等の展示物はアメリカの実業家プライス氏個人のコレクションなのである。
氏は現在カリフォルニアにお住まいとのことだが、大学卒業のときニュヨークの骨董店で出会った若冲の葡萄の墨絵がきっかけで彼はこの世界にのめりこんだと言われる、現にその墨絵が展示物のなかにあった。
彼は事業をしながらコレクションを続けた、その際作品製作者が大家であると否とにかかわらず、自分の好きなもの、また自分の審美眼を信じてそれを続けた、結果的に若冲の作品が多くなった。

私はこのコレクションで是非とも観たいものがあった、若冲の描く鶏たちである。
そこには野性味をおびた鶏たちが沢山居た、なかでも「紫陽花双鶏図」は凄まじい、江戸時代にはこのような目つきをした鶏が農家の庭先に沢山居たに違いないが現在の日本では見られない。
最近ではボルネオ島を訪ねたとき農家の庭先で見たのみである。

これ等の素晴らしい作品群が今後はロスアンジェルスカウンティ美術館に行かないと見られないのは残念である。
個人的コレクションであるにもかかわらず秘匿せず、美術館に寄付して公の財産にしているのはさすがである。