2006年暮

近くのKさんとは子供が小学生で同級であったのでそれ以来の付き合いである、今年の2月奥さんを亡くされた。
「その寂しさは当人でなければ判らない」とぽつり云われる、返す言葉もなかった。
12月になって久しぶりに彼に会うと、顔はきりっと締まり以前の精悍さを取り戻していた。
「今何をやっているの?」と聞くと「生まれて初めて山登りを始めた、それが楽しくてしようがない」という。
私より二つ若い筈だから68歳になるのであろう。

同じ町のT君をリーダーにして今年の夏から始めて既にいくつもの山をこなしているらしい。
T君なら私も知っている、確か彼も60歳ちかくになっているだろう。
彼は若いときから山登りを始め、今もそれを続けている猛者だ。
早速仲間に加えてもらうように頼んだ。

となりの寄居町に330Mの鐘撞堂山がある、そこで歩けるかどうかのテストらしきものを受けた。
先頭にT君、しんがりにKさん,中に挟まれての私、とにかくゆっくり歩けとリーダーはいう。
どんな小さい山でも彼はけっして油断しない、中高年者がちょっと足をねじればたちまち歩けなくなることを知っているからだ。
どうやらテストは合格したらしい、暮れもおしつまった12/29秩父の伊豆ヶ岳851Mに行くことになった。

暮れの一番忙しい時、山登りを楽しむとはなんとも贅沢な話であるが、3人とも始めての経験である。
私など息もたえだえでやっと頂上にたどり着いた、そこは快晴であるが身も凍る強風が吹いていた。
風を避け陽だまりをみつけ昼飯の場所とした、そこは驚くほど暖かく感じられ、持参した道具でお湯をわかしカップラーメンを食べた、美味しかった!
次の日、身体のあちこちが痛かったが心地の良い痛みであった。
辛かったKさんが山登りで元気を取り戻したのがわかる気がする。