トウモロコシとエタノール燃料

私のところはこの一年間、鳥インフルエンザ問題で振り回されたが、その間に世界の穀物事情がすっかり変わっていた。
鶏をはじめ豚、肉牛にいたるまでに日本の畜産は海外の穀物原料によって成り立っている、丁度日本の鉄鋼産業も海外の原料無しには成り立たないのと同じ構造だ。

畜産の場合、とくにトウモロコシと大豆が大事である、畜産用のみならず現在日本が輸入している穀物やその他食糧を生産するには、今日本にある全耕地をそれに当ててもなお足りない。
日本の今の食生活レベルを維持するためには、海外に日本の全耕地の面積以上の耕地を海外に借りて生産していることになる。
良い悪いの問題でなく、現実の姿である。

日本で数量的に一番多く輸入されてるトウモロコシの世界で異変が起きている。
それが豊作不作ということではなく、その用途が大きく変わってきている、いままではほとんどが飼料原料として畜産に向けられてきたが、これが燃料用エタノールの原料に回されるようになった、石油高騰のため再生産可能なエタノール製造がペイするために米国内ですでに116ヶ所エタノール精製工場が稼動してさらに79工場が計画されている。
近い将来、米国で生産されるトウモロコシの半分近くがエタノールに回されると予測されている。

米国は世界のトウモロコシの約40%を生産し、世界の輸出量の約70%を米国産が占めている。
日本はトウモロコシのほとんどを米国から輸入しているので、その影響は大きい。
飼料(家畜)と燃料(自動車)とがトウモロコシをめぐって取り合いになる、といったまったく新しい事態になってきている。
トウモロコシ価格の高騰は玉突き現象を引き起こし、他の穀物価格を押し上げる、結果的には人間様全体の食料高騰をもたらす。
「たまご屋おやじ」は飼料原料を海外に依存しながら、新鮮な鶏卵を皆さんに安く提供できることを自慢していたが、少々雲行きが怪しくなってきた。