旭川

札幌にいる間に旭川市の「旭山動物園」へ一日がかりで行ってきた、以前に一度訪ねたことがあるが時間が限られていたのでもう一度行きたかった、子供たちは勿論のこと爺さん婆さんも本当に楽しめる。
私は商売がら動物が好きだから、いろんな所で動物園を見てきている、海外に出たときでも機会があれば覗いてきた、そのなかでも「旭山動物園」はユニークだ。

普通、動物園では動物たちは狭い檻のなかでつまらなそうに隅でかたまっている場合が多い、まるで囚われの身を嘆いているようだ、生き生きとした姿を見せるのは運良く餌やりの時間にぶつかった時くらいだ、だがそのチャンスは少ない、たとえ珍しい動物でも一度見ればもう結構となりやすいものだが、この動物園は違う。

オラウータンの飼育小屋の前で足が釘づけになった、30メートルもあろうかむき出しの櫓の上をロープつたいに巨大なオラウータンのオスが餌場に移動していた、5年ほどまえボルネオ島コタキナバルに住む甥っ子を訪ねたとき密林のなかで野生のオラウータンを見たことがある、その保護をかねて密林のなかに餌場をもうけ定時に餌を与えていた、時間になると密林のどこからともなく野生のオラウータンが現れた、その野性味と精悍さとは勿論比べようもないが、ここ「旭山動物園」はとにかく動いている動物を近くで見れるような工夫がなされている、訪ねるたびに動物たちは違う表情を見せてくれる、また訪ねてみたくなる理由の一つであろう。

今でこそ入場者数は東京上野動物園に次ぐそうだが、聞けば閉園寸前の危機に追い込まれてから、新しいシステムの動物園に生まれ変わったのだという、そこには大きなドラマがあったのであろう、日本最北の特別に珍しい動物がいるわけでもない普通の動物園が一大変身したドラマはどんな仕事をしている人でも興奮させずにはいない、機会があればまた訪ねたい動物園だ。