有朋自遠方来、不亦楽乎

とても楽しい会であった。
先日、富士吉田市の鐘山苑に全国から爺さん婆さんが集まった、今からもう半世紀も前になるであろうか、全国から選ばれた農業青年55名が米国カリフォルニア州で農業実習をするためプロペラ機でサンフランシスコ空港に降り立った。
当時の記録によれば「ろくな食べ物しか食べていない瘠せた日本の青年たち、だが眼はきらきらしていた」とある、一年近くいろいろな農場でさまざまな体験をさせてもらった。

実習とは聞こえが良いが、激しい農場の労働に明け暮れた、わずかに貰える小遣いも1ドル=360円にの時代では大金であった、50年後の今、中国または東南アジアの瘠せた青年たちが実習生として日本で懸命に働いている、彼らの姿を見ると何故かジーンときてしまう、わずか50年前の我々の姿がそこにあるからだ。

鐘山苑に集まったのは55名中23名、その連れ合い家族を含めて全部で35名となった、若い者で70歳を超え、最年長者は四国から一人でやってきた会長で85歳に近い。
今年、特に嬉しかったのはブラジルからAさんが参加してくれたことである、彼はカリフォルニア州での実習を終えてすぐ単身ブラジルに渡った、さんざん苦労した末、今では蘭栽培でブラジル有数の成功者となっている。
50年ぶりで会う彼に、最初のうちは皆とまどっていたが、そのうちお互いに若い時の思い出が繋がり、長い年月の時差は消し飛んだ。

Aさんの話は二日間にわたって続けられた、彼を中心に畳の上で車座になって皆で話しこんだ、身体は老いているが気持ちは「瘠せていたが、眼はきらきらしていた」青年時代に戻っていた、有朋自遠方来、不亦楽乎。