たまご屋おやじの独り言 四国お遍路 同行二人

 遍路みちをよたよた歩いていると、不思議なことが起こる。
こんな経験は76歳になるいままで経験したことがない、あるいは日本中で四国の遍路みちだけに起きることなのかもしれない。
うら淋しい部落を通り抜けようとすると、野良着姿をした農家のおばさんが突然私のまえに現れて、私にむかって手を合わせ深く頭を下げられた。私は面くらい、ドギマギしてどうしてよいのか判らなかった。あわててこちらも頭を下げ「有難うございます」というのが精一杯であった。
また、すこし人通りの多い食料品店のまえで、買い物をすませたおばちゃんが買ったばかりのアンパンの一つを私に差し出した、私は深く頭をさげこれをいただいた。
日本中ほかの地域では起こりえないことが、ここではごく当たり前のように自然に行われていた。
「お接待」のことを話には聞いていたが、じっさいわが身に起きてみると感動する。それは私に対してではなく、お遍路する者と一緒に歩いてくださっている弘法大師への敬意と「お接待」なのだと判っていても、、、。
「同行二人」を実感する。


「同行二人」

格子戸が美しい、人通りが少ない

どこの祠も掃除が行き届いている

人がいない