たまご屋おやじの独り言 写経

 私の家の宗派はキリスト教である、私の父親の代からそうなった。

父親は古い農家の次男坊で、その母親は信心深い仏教徒、朝晩彼女の唱える般若心経を聞きながら育ったらしい。

若い時、東京日本橋金物屋に奉公にでて、そこでキリスト教に出会い銀座教会で洗礼をうけた、いらい92才で亡くなるまでそれを貫いた。

どういうわけか、父親は70代になって般若心経の写経をはじめた、それを亡くなるまで毎日のように書き続けたので、合計1万巻を大きく超えていた。

ずい分変わった父親だなと思っていたこの私が去年の3月、78才になって突然その写経を始めた。

筆で書きたいのであるが、とりあえずボールペンで手本をなぞる事からはじめ、いまはやっと下敷きの手本なしで暗記で書くところまできたが、しょっちゅう間違える。

私もクリスチャンであるが、変なところは父親の血をひいている。