たまご屋爺さんの独り言 60年 その三
今、卵が安い。
先日食品スーパーマーケットを覗いたら10ケ100円と書いてあった。
これでは私がこの仕事を始めた60年前と変わらない。
最近の新聞などにも「卵は15年ぶりの安値」とありその原因は需要を上回る生産過剰であるとした、まことにその通りである。
そして足りなくなれば値段が高くなる。
この高値安値のサイクルを私は60年続けてきた、先代の時代も変わらなかった。
業界ではいろいろと知恵を絞って生産調整をして値段の調整を試みたが機能しなかった。
今、採卵養鶏をやっている農場主はとくに独立心が強く、政府による規制制約などを嫌う気風を持っている。
現在残っている鶏卵生産者は数多くの卵不況を乗り越えてきた猛者ばかりである。
彼彼女らは不況時を何度もくぐり抜けそのたびに知恵をつけてきた。
幸い日本は先進国の中では卵が大好きな国民が多い、以前はアメリカやヨーロッパの国々が多く卵を食べていたのに、今は大逆転だ。
日本が333ケ/年一人あたり卵を食べてくれるのに、それらの国々ではいずれも220ケ前後で、それでいて平均余命も日本は負けてはいない。
運よく日本人は「卵とコレステロール騒ぎ」に巻き込まれなかったこともある。
つづく