「葬式は要らない」

「葬式は要らない」

先日自分の墓地を購入した弟が、面白い本があるからと云って「葬式は要らない」島田裕巳著を教えてくれた、早速読んでみる。

著者は宗教学者であり大学で教鞭を取っていた人とのこと,日本の宗教についての著作も多い。日本の宗教の特性からその歴史,葬式の成り立ちとその変化など、書いてあることは真面目である。

特に戦後日本の経済成長につれ故郷を離れ懸命に働き新しい土地に住み、子供たちを育て上げた世代も既に人生の最終コースに入っている、かく言う“たまご屋おやじ”もその一人。

著者によればこの世代を中心に葬式に対する考え方に大きな変化が起きているという、驚くような事例がデータをもとに示されている。葬式のような慣わしはどちらかといえばなかなか変わりにくいものだが、一度変わりだすと変化は早い。現に私の住む農村地帯でもつい10年ほど前は自宅で葬式を行い隣近所総出でそれを手伝い見送っていた、それがあるとき葬儀場を利用することが始まるとあっという間にその方式に代わってしまった、農村地帯でもそのライフスタイルが変化していたのである。従来保守的な生活習慣もその基礎となるライフスタイルががらりと変わってしまえばその部分も変わらざるを得ない、葬式のように最も保守的な部分でもそれが起きていることをこの本は如実に示している。

現在都市部に起きている葬式の変化が、思いのほか早いペースで全国的に進むのであろう、私も腹を決めなければならない。